生活にログインボーナスを導入した話、あるいはどうやったら楽しく健康的な生活を送れるか考えた話

ログインボーナス導入のきっかけ

昔から年に 1 〜 2 回くらいのペースで閃輝暗点があったんですが、去年の夏頃そのペースが早まった時期があって、不安になって病院に行くことにしました。

頭痛外来です。

診察の結果、脳に重大な問題が発生しているとかは発見されず、

  • 自分の体のメトリクスをとる
  • 健康的な生活を送る

という指導がありました。

その時に「死にたくないから病院に来たんでしょ?」と言われたのですが、そこでふと考え込んでしまいました。

「あれ、自分て死にたくなかったんだっけ?」

死にたくないと生きたいはイコールではない、という話はしない

自分は「楽しく生きたい」だけだということを考えました。

例えば、自分は会社のお昼ご飯によく以下のようなメニューを食べます。

  • レンチンするご飯
  • 鯖の水煮のカンズメ
  • 冷凍野菜を解凍したものにドレッシング
  • インスタント味噌汁

大体の材料は、会社近くのハナマサで調達してストックしてあります。

鯖の水煮が冷凍唐揚げを解凍したものになったり、レトルトカレーになったり、味噌汁がわかめスープになったり、ドレッシングの代わりに鰹節と醤油になったり、メニューはいくつかありますが。

以前健康診断でお昼に食べているものの説明をしたら「食事に気を遣ってる」ということになってしまって、申し訳なさと共に一抹の納得いかなさを覚えたりもしたのですが、自分がこれをやっているのは、食事に気を遣ってるのではなくそれが楽しいからです。

メニューの振り幅も大きくて、パンケーキにバニラアイスとブルーベリーを乗っけてチョコレートソースかける、みたいなお昼の時もあります。

わたしの中で、鯖の水煮定食もパンケーキも価値は同じです。どちらも楽しい。

という訳で、自分はどうやら、自分が「健康的」かどうかに、どうもこれっぽっちも興味がなさそうです。

そんな自分が「健康的」な生活を送るためには、それが「楽しく」ないとダメだな、と考えました。

だって、休みの日なんか、どう考えても健康的な生活するより朝からお酒だらだら飲み続ける方が楽しいもん。

『自分ルール』というアプリの導入

どうやったら楽しくなるかを自分なりに考えた結果、『自分ルール』というアプリを導入しました。

apps.apple.com

『自分ルール』は、自分専用のポイント管理アプリで、ポイントのプラスマイナスを自分で自由に設定できるのが特徴です。

例えば

  • お弁当作るモチベーションが欲しければ「お弁当作った」で100ポイント「貯める」
  • 間食を減らしたかったら「お菓子を食べる」で150ポイント「使う」

というような、「何をしたら」「何ポイント」「貯める or 使う」が設定できます。

ちなみに、 SNS 要素のある『自分ルール SNS』というアプリもありますが、自分は SNS 要素は不要だったのでそちらは試してません。

『自分ルール』のポイント設計時に考えたこと

過去の失敗

この話、社内の LT 会 で発表したのですが、その時に『自分ルール』やってたけどやめたという人がちらほら。

過去にやってたけどやめたという話を聞くと、「〇〇するのを我慢したら××ポイント貯める」という設定をしていたとのこと。

実は自分も『自分ルール』インストール 2 回目で、 1 回目の時は「お酒を飲まなかったら××ポイント貯める」をしてました。そして、すぐにやめてしまいました。

他にも「つもり貯金」みたいな、お酒飲みたくなったら飲んだつもりになって (擬似的に) 貯金する系のアプリも試したこともあります。でも続かない。

「我慢したらポイント貯める」が続かなかった理由はいくつかあると思っていて。

まずは「我慢した」の定義しにくさ。

「お酒飲みたいな」って気持ちがあって、例えば朝我慢してお昼も我慢したら 2 回押しても良いの? ずっと飲みたいと思ってるんだけど、いつ押せば良いの?

みたいなことになって、ボタンを押すタイミングが難しい。

ボタンを押して良い時と押さない時に自分の中で明確な基準はなくて、押しすぎてポイント溜まりすぎたり押すの忘れてポイント貯まらなさすぎたり、要するに、ポイントの溜まり方が安定しなくて結局飽きてしまう。

「こうやったら上手くいったから次もこうやろう」「こうやったら失敗したから次はこうやろう」ということができないゲームは、ただの理不尽バランスのクソゲーです。

次に、「我慢する」こと自体にインセンティブが働きにくい、ということ。

「我慢したら何ポイントかもらえる」けど、別に我慢しなくても何か起こるわけじゃない。ポイントが発生しないだけ。 だったら、今お酒飲んでも困ることなくない?

という思考になりがちでした。 「我慢したら」パターンでやってた時は、実はやってない時よりもお酒の量増えてたんですよね。 だって、ポイント発生を犠牲にしてお酒を飲んでいたので、なんだったらポイントを諦めることがお酒を飲む言い訳にまでなってた。

この辺りは、まあ、個人の性格にもよるかもしれないけど。

で、最後に、これが一番大事なんですが、「我慢する」ということは楽しくないし非常にストレス。

「我慢」は続かないので、結局どこかでやらなくなってしまうのですよ。

「ご褒美」を設計する

それらの反省を踏まえて、「ご褒美」から考えることにしました。ポイントの使い道は大事です。

なのでまず、目標を「お酒を飲まないようにする」ではなく「土日に 350 ml 缶を 1 日 2 〜 3 本くらい飲めると良いなあ」というところに定めました。

つまり、我慢するのではなく、頑張ればやっても良いという状況にしたわけです。まさしくご褒美。

自分の設定例の一部

あとは、実際に設定して運用していく中で調整していったことばかりなので、実際の設定例を出しながら、何をどのように考えたのかを説明していきます。

使う

最初に設定したのは「お酒を飲む 140 ポイント」で、他は「使う」方も「貯める」方もそこからの相対評価です。相対評価大事。

お酒飲む 140 ポイント

コンビニでチューハイ系 350 ml 缶が大体 140 円だなあくらいの理由で設定したもので、特に深い理由はありませんでした。 自分でも、なんでキリが良さそうな 150 ポイントにしなかったのか不思議です。

この適当だった 140 という数字が 7 (つまり 1 週間の日数) の倍数だったことが後々便利に作用することになりました。

コーヒー飲む 140 ポイント

コーヒー飲むと頭痛くなったり、お腹痛くなったりすることが多いので、やめたいなあと思ってました。

でも、コンビニとかでついつい買っちゃってた。

お酒 1 缶と同じポイントにすることで「今日コーヒー我慢したら土曜日に 1 本余分に飲める」という心理が働くようになって、今はコーヒー飲まなくなりました。

夜遅くに食べる 240 ポイント

疲れたりイライラしてたりすると何か食べたくなってしまって、お腹空いてる訳でもないのに、夜中に鶏の唐揚げとか食べたりしてました。それで結局そのあとお腹の調子悪くなったりして。

「お酒 2 本分かー」と思うことで、ブレーキがかかるようになりました。

コーヒー飲むも夜遅くに食べるもそうなんですけど、「完全に禁止」ではないところが良いところです。

「ついやってしまう」ではなくポイントと引き換えに意識的に「お酒を減らしてでも今食べるんだ!」って気持ちで実行しているので、自分がコントロールできてるように感じられて、結果、後悔が減って満足感が高くなってる気がします。

貯める

生きてる 10 ポイント

これがいわゆるログインボーナスです。

最初は「頑張った」だったのだけど、以前非常に疲れてた時に「自分今日頑張れなかったよ……頑張ってない……」って余計落ち込んでしまって精神衛生上良くなかったので「疲れた」に変更。 でもそれはそれであまりに見た目がネガティブになってダメな感じだったので、検討の結果「生きてる」になりました。

毎日生きてるだけでポイントもらえる。良い話。 結果的にお医者さんの「死にたくないから」というセリフを伏線として回収してる気がしてますが、気のせいかもしれません。

そしてログインボーナス、意外と押し忘れる。

体重はかった 10 ポイント / 血圧はかった 10 ポイント

最低ポイントを 10 ポイントにしてるのですが、毎日やることを 10 ポイントにすると 1 週間で 70 ポイント溜まるのですね。 それが 2 種類あれば 140 ポイントで、ちょうどお酒 1 缶分になるので、毎日継続したい気持ちが強くなります。

体重と血圧は、毎日朝晩なので、きちんとやり続けることができれば 1 週間で 280 ポイント、つまりお酒 2 缶分です。

とはいえ、ちょいちょい面倒になってやらなかったりすることもあるんですが、そういう時もポイントと引き換えに意識的に自分を甘やかしてるので「サボっちゃったなー」みたいな罪悪感が生まれにくいです。

「毎日やる系」って、今までは 1 日とか 2 日とか歯抜けになっちゃうと、急激に続けるモチベーションが失われていたんですが、 1 回中断しても「お酒飲みたいしポイント獲得しとくか」みたいな感じで再開するモチベーションがあるので続けられてます。

昨日12時前に寝た 20 ポイント

寝不足になることが多いので導入したんですが、あんまりこれでポイントもらえてないです。時々「だらだらしてないで寝るか」という気持ちにはなりますが。

「きちんと寝た」みたいなふんわりした言葉ではなく、12 時という明確な基準を導入したのは良かったと思ってます (自画自賛) 。

リングフィット 80 ポイント / そこそこの運動 20 ポイント

リングフィットアドベンチャーは、毎週土日にだけやってます。

最初に始めた時には、リングフィットアドベンチャー 1 回で 140 ポイントに設定して「これやったらお酒 1 缶飲めるぞー」って思いながらやってました。 そこまでやらなくても続けられそうだったので、徐々にポイントを下げて様子見中です。

他にも、習慣化したいことを新しく始めるときは、ポイントを高めに設定して「これやればお酒1本ボーナス」と思いながらやるような感じにしてます。 何回かやるうちに、他のポイントと自分の心理的負荷とのバランスを見ながら調整していく感じです。

新規イベント開始時にスタートダッシュボーナスがあるようなものかな、と。

そこそこの運動は、リングフィットアドベンチャーできない時にも何かできないかなーと思って設定したんですが、結局使えてないです。

具体的じゃないせいだと思うので、改善を検討中。

食洗機起動 40 ポイント / お米といだ 30 ポイント / ご飯つくった 70 ポイント

これらは、以前はひとまとめに「ご飯つくった 140 ポイント」でした。 細分化した方がモチベーションが維持しやすいことに気付いたので、細分化してます。

例えばご飯作るのどうしても嫌なので何か注文しましょうって時も、「たまった食器片付けくらいはしとくか」って思いやすい。

家族がご飯つくってくれるって時に「お米だけといどいて」とか軽い感じで頼まれてもイラっとせずに「お、お酒ボーナスイベントか?」って思えるようになったので、家庭も平和。

以前は片付いてない食器見てイラっとすることもあったけど、最近は気にならなくなってきた。だって片付ければお酒飲める。 前は割とギリギリまで食器を放置してたけど、最近は溜まる前に片付けるようになりました。お酒飲みたいから。

導入してないもの

ポイント消費して 3 本目のお酒を飲んでいたら、家族に「飲みすぎ防止のために、お酒 3 本目は使うポイント増やすとかしたら?」って言われたけど、それは検討の末導入を見送りました。 何本目かで傾斜をつけた場合「だったら毎日1本飲んだ方が効率良くない?」というのは、自分だったら絶対考えるし、そっちの方が効率良いならきっとそうなるだろうっていうのが、すぐに思い付いたので。

やるなら、全体的なポイント調整か、お酒以外の消費行動の追加でバランスをとるべきだと思いました。

そういうこともあって、そろそろ大きめのポイント消費を伴うご褒美を用意して、少しポイントを貯める要素を追加しようかとも思ったりするんですが、1 週間より長いスパンでポイント貯めるとなるとプレイ感が変わるので、慎重に考えたいところです。

「楽しい」の?

楽しいです。

自分相手のゲームのバランス調整、楽しいです。

ポイント絞りすぎるとやる気出ないし、ガバガバでもやる気なくすし、プレイヤーはワガママですね。

心理的負荷とお酒のバランスに納得感が必要で、そのちょうど良い塩梅を見極めながら毎日過ごしてます。

環境が固定されすぎても飽きてくるので、良い感じにポイント発生源を程よく入れ替え、でもあんまり煩雑だとすぐに面倒臭くなってしまうのでやりすぎず。

反応するのが自分自身なので、ダイレクトにやる気の上がり下がりがわかるのも面白いです。

毎日の生活の中に、効率よくお酒を飲むゲームと、お酒を餌に何かをやらせるゲームの両方があるわけですよ。

「健康的」になれてるの?

健康的かどうかはわかりません。

以前に比べたら、リングフィットアドベンチャー続いている分、運動はやれています。 もともと運動量ほぼゼロだったので、そこと比べたらなんでもやってるうちに入るよねって話な気はします。

夜中の暴食はしなくなって、コーヒーも飲まなくなりました。 平日のお酒もほとんど飲んでません。

まあ、たまにポイント消費して飲むときはあるけど、時々はそういうことがあっても良いよね、と思ってます。 だってその分週末飲むお酒が減ってるんだし。

週末のお酒の飲み方は、多少変わりました。 「ポイントこれだけだから、今日は 2 本かな、だったらご飯の時にしよう」みたいな感じで、自分で「いつ」「何本」飲むかを意識してコントロールするようになりました。

以前は家事をするのが憂鬱で、洗濯前に飲んで、掃除の前に飲んで、ご飯作りながら飲んで、とだらだら飲んでたものです (ダメ人間ぽい)。

ポイント消費となると急にポイントを惜しむ気持ちが出てきて、「平日疲れた時にいつでも飲めるように、お酒 1 本分くらいポイント残しておいた方が良いのでは?」みたいなことも考え始めたりしています。結局飲まないんだけど。 ちなみに、金銀の折り紙は使えずに引き出しに大事にしまっておく子供でした。 ゲーム内で 1 個しか手に入らない消耗品アイテムは最後まで使えません。

時には自分を甘やかすことができて、そんな時も罪悪感で落ち込んだりもせず、楽しく過ごせてるのが、自分としては一番良い点だなと思ってます。健康的かどうかはその副作用。